閉じていた引き出しが開いた。
つらかったことは忘れようと奥底の引き出しにしまいこんでしまうのだ。
あの頃、辛かったな。

娘が小1のときアトピー性皮膚炎がひどくランドセルも背負えないほど体中を晴らしていた。
地元の皮膚科でもらった薬をいくら真面目に塗っても直らずどうしてよいか分からなく。泣き叫ぶ娘を見ていていっそ‥と馬鹿な考えが浮かんだりしていたのだ。

そうしてたどり着いたのが漢方医の逸見先生。
ふわりとやわらかい笑顔で安心させてくれた。
なんでも話せた。親子で漢方を飲み先生と話していくとかたくなな私の心がやわらかくなると同時に娘の体も回復していった。

アレルギー体質もあるのだけれど彼女の体は私の心が響いていたのだと今は思う。

娘は看護学科を受験しようとしている。
受験しようかと思う大学の病院のクチコミを見てるうちにふと昔かかっていた病院をサーチしてみた。
そうしたら逸見先生はもういなくなっていた。あれから8年近く行ってないから当たり前なんだけど先生がいないのだと思うと泣けてきた。
通ってないくせに頼りにしてたんだよね。

でも目の前の箱は賢い!!
探したらあえましたよ、先生のお兄さんの病院で診療をしてるって。

娘が看護師を目指してる理由はいろいろあるだろうが自分がアトピーで長いこと苦しんだことも理由のひとつに違いない。
彼女が看護師になれたら逸見先生に会いに行こう。
そうしたらあの優しい声で’○○ちゃん、頑張っていこうね’と励ましてくれるに違いない。

そうして私の仕事もひとつ終わる。